この時期になると戦争を題材とした番組、報道、映画などが多くみられます
その悲惨さを訴える物も多いのですが、見ていても辛くなるので避けていた時期もあります
もちろん、戦争の悲惨さを語り継ぐ、語り部の重要さもわかるのですが、
戦争は悲惨さん、反対、平和は正しい、、、
とかく観念的だったり、感情に訴えるものも多い中、
人生を重ねてくると、いろいろな情報をつなぎ合わせて透けてくる事実もあります
●玉音放送を作った側からのドラマ
玉音の原版を放送前に奪還しよう陸軍青年将校たちのクーデター
いわゆる宮城事件(きゅうじょうじけん)
しかし、それは8月15日正午までの24時間の勃発的な事件ではなく、
軍部の検閲と放送(言論の自由)をめぐる攻防
原爆投下の時もそうですが、軍部の検閲を経ないと自由に放送できないため、
緊急の空襲警報が放送される時にはもう、
目の前に軍機が迫っていることも多かったそうです
そして天皇自らが、マイクの前で語るという構想は、困窮をしている国民に対して
最初は直接エールを送るという趣旨で2年くらい前から構想があったこと
玉音放送は、降ってわいた企画ではなく、政府と何度も何度も会議を重ねて
実現したものということを知りました
●現在放送中の「やすらぎの道」
劇中劇として戦前が描かれています
その中で気になったのは、徴兵検査がどのようにして行われていたのか
その様子が具体的に描かれていたこと
しかも1回ではなかったかと、、、
そして徴兵拒否をして逃げるとどうなるのか?
憲兵を巻き込んでの執拗な大捜査になる様子も描かれていました
●テレビ東京系「池上彰の戦争を考えるSP」では赤紙を取り上げていました
戦況が悪化するにつれて、赤の染料も不足するので、だんだんピンクから
さらに薄くなっていく様とともに、赤紙がクローズアップ
初めてまじまじと赤紙を観ました

赤紙は横長で3つのパートに分かれます
右は受領書
本人が受領印を押して役場に提出します
真ん中は、どの戦地に配属になるのか、赴任先の記載
そして左端が、赴任先までの乗車切符です
ここでびっくりしたのが、「乗車切符」
考えてみれば、軍部が後で精算するのだから、大切な経理書類
国の指示で配属するのだから、「運賃はタダ」なんだという事実です、、、
なぜ、ここに引っかかったかというと、、、
●先日みた「伝説の黄金列車」の番組
ユダヤ人から略奪した財宝300トン・4700億
ハンガリーからドイツへ向かう途中、ドイツの戦況悪化を理由に
急きょ、行き先をオーストリアザルツブルク方面へ変更する中、
ハンガリー指揮官の横領、ヒトラーの自決を受けたドイツ兵の襲撃、
民間人や鉄道員までが群がり、最後はアメリカ軍の略奪、、、
最後には1/4にまでに財宝がなった後、その行方が分からなくなったという話、、、
この中で、徹底的なユダヤ人からの略奪の話が出てくるのですが、
まず驚いたのは、ユダヤ人全員が豊かなはずもなく、貧しい人は提出できないと
隠ぺいを疑われるので、なけなしのお金、借金をしてまでも
宝石店で宝石を買い求めて差し出したのだとか
さらに驚くことは、ホロコーストとして知られる強制収容
このすし詰め状態で送られる列車の運賃さえも、ユダヤ人から徴収していた事実です
それは1km当たり、4ペニヒ(大人料金・20円程度)
しかも団体割引など、事細かく料金が定められていたそうです
なんと、それが当時のドイツ国鉄の収入の50%を占めていたのだそうです
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日本の赤紙は、配属先への優待とは言え、事実上片道切符
ユダヤ人は、好きで行く訳でもないのに、自分で運賃を払ってアウシュヴィッツへ、、、
当たり前の事実の中に散りばめられる、「知らなかった細かなこと」
女優・渡辺美佐子さんは仲間と共に、被爆者の手記の朗読会を37回行ってきたそうです
1年に1回ということはかれこれ、37年
「最初は母親などの手記だったけど、今ではその子供たちの手記が主になってきました、、、」
自分たちも、子供時代に戦争体験してはきましたが、、、と語られていました
心情や感覚に訴えることも大切ですし、いわゆるインパクトのある映像も
テレビや報道的には求められることも事実
しかし、そのような話の土台・背景自体がさらに風化しつつあるのかも知れません
小説をドラマや映画にするときに、背景や舞台装置、小道具などが必要となるように、
見聞きしたときに、それを受け入れる素地が、世代が若くなればなるほど、
なくなってきているのかも知れません
テレビや語り部は「自分たちが語っている通りに、受け手にそのまま伝わっている」
少なくとも「できる限りは尽くした、伝えきった」と思われるのでしょう
けれど、受け取り側の理解力・創造力ではなく、その前提となる受け入れる素地自体が乏しい時もあるのです
数学で例えると、因数分解を説明するのに、まず九九を知っていなければ伝わらないのと同じようなことと思います
今までも何度か、長方形の赤紙を渡すシーンはドラマで見ているはずなのに、
広げると横長で、左端は切り離して戦地に赴く、乗車切符(金券)になっていて、
方や、ユダヤ人は死出の旅路にさえも、自分でその運賃を支払わなければならない、、、
そんなことはこういう機会でもなければ、思いもよらない、とても衝撃的なことでした、、、
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昔、何年にこんなことがありました
その背景はこうでした、、、
為政者側からの教科書的な歴史だけでは感じれない、「肉薄感」は
こんなひとつひとつの細かな「事実」を背景としているのですね
池上彰さんのスペシャル番組
あさま山荘、よど号ハイジャック事件、三億円事件、、、
時々、なぜ今更なの? と思う時もあるのですが、
淡々と歴史的背景と事実を、時に実際に現地を訪ねて報道してくれるので、
知らなかったこと、見過ごしてきたことを、「今」だからこそ、
視聴者側がいろいろな立場で自由に感じたり、考えたりできます
桜の開花予想で有名な靖国神社
その中の石碑に母方の祖父と、祖母の弟の名前が刻まれています
もう何十年と訪れていませんが、今日の終戦記念日を機に、
また近々、訪ねてみたいと思いました
なぜ「愛から遠ざかるもの」、「うれしくない現実」を
引き寄せてしまうのか、ブロックを浄化し、癒されていく